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ジンギスカンだけじゃない!羊肉の特徴と知られざる栄養価で魅惑の食時間を♪

“ジンギスカン”は、焼肉などでもよく耳にしますよね。
羊肉には、ジンギスカンの他にも色々な種類がありそれぞれに違った特徴がある事を知っていますか?

今回はそんな羊肉の特徴と、それぞれの栄養価をお伝えしたいと思います。

香りを楽しむラム肉

ラム肉が苦手という理由の一つに「特有の香り」を挙げる人は多くいます。料理は五感で楽しむものであり、香りもおいしさを感じる要素の一つ。ラム肉と香りの関係についてご紹介しましょう。

草食動物特有の香り

羊は草食動物。広大な土地に放し飼いにされ、そこに生えている草を食べながら成長します。

「草(葉物)を食べているのに、どうして独特の香りがあるの?」と思うかもしれませんが、それは草そのものの香りではなく、草を体内に取り込んで消化吸収するときに、体内の消化酵素によって変化した物質の香りなのです。つまり、ラム肉特有の香りは、羊がしっかり栄養を摂って消化吸収したという証なのです。

香りの好みには個人差があります。そして、「慣れ」もあります。ラム肉の香りが苦手と言う人は、もしかしたらあまり食べたことがないのかもしれません。これを機会にラム肉に挑戦してみては?

ラム肉とスパイスは相性good

前項で特有の香りについてご紹介しましたが、香りが強い分、スパイスとの相性がいいのがラム肉の特徴です。シンプルなものからパンチのきいたものまで、さまざまなスパイスで幅広い料理が作れます。

モンゴルなどで食されている「ラム肉の火鍋」は、赤白2種類のスープで食べる定番鍋料理。白はマイルドな白湯(パイタン)スープ、赤は唐辛子や八角をきかせたピリ辛スープ。白湯のシンプルな味でラム肉の香りを引き立たせるベストな組み合わせです。

ラム肉にピッタリのスパイスとしては、なんといってもクミン。カレーやエスニック料理に使われるスパイスで、苦みと辛みを併せ持つ香り。ラム肉が苦手な人にこそおすすめのスパイスです。

そのほか、シナモン、ハーブなども相性がいいとされています。スパイスは何種類かを合わせるとより深みが出てくるので、臆せずチャレンジしてみましょう。


羊肉の特徴

1.ラム(Lamb)

特徴:生後1年未満の仔羊の肉。柔らかく、風味が軽い。

違い: 他の羊肉に比べて風味が軽く、初心者でも食べやすい。

おいしく食べるポイント:シンプルな調理法が良い。
            ローストやグリルで、ミディアムレアに仕上げると風味が引き立つ。

歴史:羊肉の中でも古くから食べられており、紀元前から存在。ヨーロッパや中東で特に人気がある。

栄養と健康効果:高タンパクでビタミンB12、鉄分が豊富。貧血予防や筋肉の成長に役立つ。

適したレシピ:ローストラム、ラムチョップ、ラムカレー。

2.ホゲット(Hogget)

特徴:生後1〜2年の羊の肉。ラムよりも風味が強く、成熟した味わい。

違い:ラムよりも風味がしっかりしており、マトンほど強くない。中間的な存在。

おいしく食べるポイント:煮込み料理やグリルでじっくりと火を通すと美味しい。

歴史:ラムと同様、古くから食べられているが、認知度は低め。主に伝統料理で使用。

栄養と健康効果:ラムと同様に高タンパク。ビタミンB群が豊富で、疲労回復に効果的。

適したレシピ:煮込み料理、グリル、スープ。

3.マトン(Mutton)

特徴:生後2年以上の成羊の肉。風味が非常に強く、しっかりとした味わい。

違い:他の羊肉に比べて風味が強烈。独特の香りが特徴で、好みが分かれる。

おいしく食べるポイント:スパイスを効かせた料理が良い。カレーやシチューで風味を活かす。

歴史:中世ヨーロッパで広まり、農業革命以降、広く消費されるようになった。

栄養と健康効果:鉄分が豊富で、免疫力向上や貧血予防に効果的。

適したレシピ:ジンギスカン、マトンカレー、シチュー。

ラムとマトンの違い

ラムは生後一年未満の子羊の肉、マトンは二才以上の成羊の肉とされています。
ラムは肉質がやわらかくてクセがないのが特徴で、マトンは羊ならではのコクと旨味が特徴です。

4.ハルディ(Herdwick)

特徴:イギリスの湖水地方特有の羊種。味わい深く、豊かな風味。

違い:地域特有の風味があり、他の羊肉とは異なる。英国伝統料理に使用されることが多い。

英国伝統料理にはどんなものがある?
①シェパーズパイ
・・・羊肉のひき肉を使ったパイ。羊肉を炒めた後に野菜などを加え、グレイビーソースで煮込む。その上にマッシュポテトをのせ、オーブンで焼いたもの。
②ラムロースト
・・・英国の伝統的な日曜日のランチのメインディッシュとして人気。ガーリックやローズマリーで風味付けをし、オーブンでじっくり焼いたもの。
③ホットポット
・・・特にランカシャー地方で人気のある料理。薄切りのラム肉とジャガイモ、ねぎを層にして鍋に入れ、オーブンでじっくりと煮込んだ料理。

おいしく食べるポイント:シンプルなローストがベスト。ハーブや塩で味を引き立てる。

歴史:イギリスの湖水地方で長い歴史を持ち、地元の食文化に深く根付いている。

栄養と健康効果:高タンパクでビタミンB群が豊富。特にビタミンB12が多く、エネルギー代謝をサポート。

適したレシピ:イギリス風ロースト、シチュー、キャセロール。

5.スプリングラム(Spring Lamb)

特徴:春に生まれた仔羊の肉。非常に柔らかく、ミルキーな風味。

違い:他の羊肉よりも柔らかく、風味が軽い。フレンチ料理で特に人気。

おいしく食べるポイント:ミディアムレアで仕上げると、最も風味を楽しめる。ハーブやガーリックでシンプルに調理。

歴史:フランスやイギリスで春の季節に特に人気。季節限定の美味しさを楽しむ。

栄養と健康効果:高タンパクでビタミンB群が豊富。疲労回復や免疫力向上に役立つ。

適したレシピ:フレンチスタイルのロースト、グリル、ハーブラム。

6.スクープ(Sukuki)

特徴:生後6〜8週間の非常に若い仔羊の肉。とても柔らかく、風味が軽い。

違い:最高級の羊肉として扱われ、非常に柔らかく、繊細な味わい。

おいしく食べるポイント:シンプルにグリルやローストで。塩とオリーブオイルだけで素材の味を楽しむ。

歴史:高級食材として特別な機会に消費される。フランスやイタリアのグルメ料理で使用。

栄養と健康効果:高タンパクで鉄分が豊富。筋肉の成長や貧血予防に効果的。

適したレシピ:グルメ料理、シンプルなグリル、軽いソースと合わせた料理。

「温性食材」としてのラム肉

ジンギスカンで知られるラム肉。寒い冬場は、食べることで体の中から温まりたいもの。そんなときこそ、ラム肉はおすすめなのです。

食材には、体を温める性質を持つものと、体を冷やす性質を持つものがあります。中国の薬膳の考え方では、食材を体に取り入れることで表れる反応や症状によって、温・熱・涼・寒と分類しています。この分類を「四気(四性)」といいます。羊肉はその中の「温性」とされています。

体が冷えていると、血流が滞ったり代謝が鈍くなったりと、不調をきたす原因にもなりかねません。寒い季節こそ、積極的に羊肉を食べて、健康的に過ごしたいものです。

おいしさの目安は「ローズ」の焼き色

ラム肉を家庭で料理するときに、難しいという声を聞くのが「焼き上がりのタイミング」。「どのくらい焼けばいいの?」「しっかり焼かないとダメなの?」「焼きすぎるとかたくなる?」などのお悩みがあるようです。

ラム肉をおいしく焼くコツのひとつとして、焼く30分くらい前に冷蔵庫から出して常温に戻しておくことが、まず挙げられます。冷たいままだと熱が通りにくく、焼きムラができてしまいます。

そして、焼き上がりの目安はお肉が「ローズ(バラ)色」になったころ。生のラム肉は比較的濃い赤色をしています。それが熱を通すことによってだんだんとピンクがかってローズ色になり、おいしい焼き上がりの合図になります。ラムチョップのように厚みのあるお肉の場合は、指で少し押してみて、弾力を感じるくらいが、火を止めるちょうどいいタイミングです。ちなみにかたまり肉を焼く時の最初のコツとして、フライパンは油をひかずに熱し、側面の脂部分を下にして焼くとよいでしょう。

そしてラムチョップとかたまり肉、ともに大きなポイントは、火を止めた後にアルミホイルで全体を覆い、余熱で中まで熱を通すこと。この余熱の時間が、お肉をややレアの状態から、おいしい焼き上がりの「ローズ色」にしてくれる時間。焼き立てを切るとせっかくの肉汁が流れてしまうので、このひと呼吸が、お肉を落ち着かせる役目も持っています。

火を通し過ぎるとかたくなってしまうため、焼き方のコツをおさえて、おいしいラム肉をお楽しみください。